Eastern Promises
Naomi Wattsは変態監督の作品に印象的な役で登場する女優として、キャラを確立したような。見た目は全然変態性を醸し出していないし、かなり綺麗な人なんだけど、何故か変態監督の作品によく出演する。
デヴィッド・リンチの『マルホランド・ドライブ』(最新作『インランド・エンパイア』にはウサギ人間の声で参加しているから、かなり気に入られているのだろうか)にはじまり、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥの『21グラム』『バベル』、メジャーにいつつもかなりぐちょぐちょなニュージーランド出身監督ピーター・ジャクソンの『キング・コング』など。公開を控えている作品には奇才デヴィッド・クローネンバーグの『Eastern Promises』(日本公開は未定)、そしてドイツのミヒャエル・ハネケ自身による『ファニー・ゲーム』のアメリカ版リメイクなど、国を選ばず、兎に角変態で性格が悪い監督から好まれているようだ。ちなみに『ファニー・ゲーム』のリメイクは監督はミヒャエル・ハネケ自身で、プロデューサーはナオミ・ワッツ。
個人的に、彼女の存在を知ったのはやはり『マルホランド・ドライブ』からなのだけど。その強烈なイメージに翻弄されることなく、変態系作品に参加しつつ、自ら変態作品をプロデュースする側に就き、メジャー性もアピールするという奇跡的なバランスが保たれている。ハリウッドにしれーっと紛れ込んでいそうなメジャー感と、驚くような衝撃作を兼ね揃えている人物は彼女意外にどれだけいるだろうか。
リメイク版『ファニー・ゲーム』の日本公開の情報はまだわからないが、オリジナル版は異色バイオレンスとしてお勧めできる。バイオレンス映画はほとんど観ないのだけど、この映画は“見せない”バイオレンスの痛々しさが嫌というほど味わえる、息苦しい作品だった。何処のTSUTAYAでもレンタルできるので、少し変わったバイオレンスが観たい方にお勧めしておく。ちなみにミヒャエル・ハネケは『ピアニスト』の監督。『ピアニスト』は個人的にかなり身近に感じられたし、状況がリアルすぎたのでその分痛かった。この監督はヒドい。本当に酷い。
あとNaomi Wattsを起用する変態的な監督がいるとしたら、ラース・フォン・トリアーだろうか。今の彼女ならかなりふさわしい。エミリー・ワトソンやビョーク、ニコール・キッドマンの流れでナオミ・ワッツ。
『Eastern Promises』や『ファニー・ゲーム』はわたくしが日本に帰るまでに公開されないことを祈る。